赤ちゃんが生まれてから100日の日に”一生涯食べることに困らないように”
との願いを込めて行う日本の伝統儀式です。乳歯が生え始めるのがこの頃なの
で「歯固め」、また「百日の祝い」「箸初め」などとも呼ばれています。
赤ちゃんの多幸を願う気持ちが込められた御祝い膳を用意して、年長者である
おじいちゃんやおばあちゃんが、赤ちゃんを膝に抱いて、食べさせる真似をし
ます。

お食い初めのはじまりは、平安時代と言われています。
当時は、重湯の中にお餅を入れ、そのお餅を赤ちゃんの口に少しだけ含ませるというも のでした。生後50日に行われていたので「五十日(いのか)の祝い」と呼ばれ、たべさせ るお餅を「五十日餅(いのかもち)」と呼んでいました。鎌倉時代に、子供に初めて魚を 食べさせる「真魚初め」として貴族の間に定着し、室町~江戸時代になって、お膳に食事 を揃えて食べさせる真似をする”お食い初め”の形が確立されました。
現代でも、地域によっては、「真魚初め」「お箸初め」などと呼ぶこともありますが、一般 的には”お食い初め”と呼ばれて、子供の成長の儀式として受け継がれています。

祝い膳一式を、母方の祖父母が贈る習わしがありますが、最近はお祝いを する家庭の親がそれぞれ用意しているようです。漆器は、男の子用は総朱 で男紋(定紋)を金か漆黒で入れ膳の足は低く、女の子は黒内朱で女紋を 銀で入れ膳の足は高く、というのが伝統的な形ですが、最近では、ほとん どの場合家紋を入れることはなくなってきています。お箸は柳箸が正式で 、神人共食ということで、両方削ってある『両細』というものを使用しま す。京都などの地域では、お食い初め用に一方だけ削ってある「片口箸」 を使用することもあります。